2020年4月9日

ディスレクシアとUDフォントについて(令和元年9月議会個人質疑より)

投稿者: wpmaster

◆令和元年第3回市議会定例会において、『ユニバーサルフォント』について、以下のような趣旨の質疑を行いました。

【現状】

近年、ディスレクシアと呼ばれる、文字認識能力に関する学習障害の存在が明らかになっている。同じ文字でもフォントが違うと、別の文字に見えてしまうという症状があり、トム・クルーズやスピルバーグもこの障害をカミングアウトしたことから有名になった。本市でもこうした障害を持つ子どもが一定数いることから、あまり注目されない教育現場でのフォントの利用の在り方について質疑を交わした。

【私からの質問の内容】

本市での学校現場でのフォントの利用状況

他都市で行われたUDフォント導入による実証実験の研究成果

本市の教育現場でのUDフォント活用の考え

【引き出した回答】

現在使用しているのは主に「明朝体、ゴシック体、教科書体」

UDフォントを導入した奈良県生駒市の研究成果によると正答率が66%→81%に。回答時間も大きく短縮された。

本市でもUDフォントについて来年度以降のコンピューターの更新に合わせて導入してまいりたい

【質疑概要】

教育現場におけるフォントの考え方についてお尋ねをします。
 まずお尋ねをしますが、小中学校の授業などにおけるユニバーサルデザインとはどういうものなのかお示しください。
 答弁を願います。


◎教育長(杉元羊一君) お答えいたします。
 国立特別支援教育総合研究所によりますと、通常の学級におけるユニバーサルデザインとは、特別な支援が必要な子供だけでなく、どの子供にも過ごしやすく学びやすい学校生活、授業を目指すこととされております。
 以上でございます。


◆(杉尾ひろき議員) 答弁をいただきました。
 特別な支援が必要な子供だけではなく、どの子供にも学びやすい授業を目指すことが授業などにおけるユニバーサルデザインということであります。
 こうした中、最近、文字の読み書きに困難を伴うディスレクシアと呼ばれる学習障害が新たな問題となってきております。アメリカの俳優トム・クルーズが、自身がディスレクシアであることを公表したことを皮切りに、同じく俳優のキアヌ・リーブス、映画監督のスピルバーグなど、多くの著名人が同じ障害があることを相次いでカミングアウトしたことから、この障害の知名度が増し、広く知られるようになっております。
 障害の状態としてさまざまなパターンがあるようですが、代表的なものとしては、文字の認識能力に障害があり、文字が躍って見えたり、英語圏においては、小文字のbとdの区別がつかない、pとqの区別がつかないといったようなことがあるようです。漢字圏では、同じ文字でも書体やフォントが変わると同じ文字として認識することができないといったことなどもあるようです。そして、この障害は、フォントとレイアウトに配慮することで改善がされるとも言われており、学校の授業などでは、なるべくわかりやすいフォントを利用することが望ましいとされておりますが、まず、本市小中学校で現在活用しているフォントの状況についてお示しをください。
 答弁を願います。

◎教育長(杉元羊一君) 本市小中学校のパソコンや電子黒板等で使用しているフォントは、明朝体、ゴシック体、教科書体等でございます。
 以上でございます。


◆(杉尾ひろき議員) 答弁をいただきました。
 本市の小中学校では幾つかのフォントが利用されており、特に統一した基準はないようですが、こうした中、最近、ユニバーサルデザインフォントというものが開発され、こうした障害がある方だけでなく、弱視の方やどの子供にも読みやすいとされております。
 こちらのゴシック体、教科書体、明朝体が、現在、鹿児島市内の小中学校で使われているフォントであります。先ほどのディスレクシアの抱える問題というのは、例えばこの明朝体の「ふ」とゴシック体の「ふ」、この二つが同じ文字ということが理解できないということで苦しんでいる、フォントが違う文字が同じ文字という認識ができないということで苦しまれているという状況にあるそうですが、こうした中、右下のUDフォントと書かれているこちらがユニバーサルデザインフォントというフォントになります。
 このユニバーサルデザインフォントについて、ことし二月に奈良県生駒市の教育委員会が、小学五年生の児童百十六人を対象とした実験を行ったそうでありますが、その実験内容とその結果はどのようなものであったのかをお示しください。
 答弁を願います。

◎教育長(杉元羊一君) お尋ねの実験につきましては、ユニバーサルデザインフォントと教科書体で書かれた例文を児童が読み取る早さと正確さを比較したもので、ユニバーサルデザインフォントのほうが正確さを保ちながら読めることが実証されたとのことでございます。
 以上でございます。


◆(杉尾ひろき議員) 答弁をいただきました。
 小学生百十六人を対象にユニバーサルデザインフォントと教科書体で書かれた文章による問題三十六問を一分間の制限時間の中で解答するといった実験だったそうです。結果としては、速さについては、一分間の制限時間の中で全問解くことができた児童は、教科書体が四人であったことに対し、ユニバーサルデザインフォントでは三十人、正答率も教科書体六六%に対して、ユニバーサルデザインフォントだと八一%という結果が出たそうであります。
 こうした実験結果も出たことから、このフォントの導入に踏み切る自治体、学校もふえてきており、また、学校現場だけではなく、行政文書や市政便りなどの印刷の際にこのフォントを活用するといった自治体も出てきているようであります。実際の授業で、こうしたユニバーサルデザインフォントを利用するかどうかは各学校の裁量だとは思いますが、もし利用したいと思う学校や利用したいという児童が出てきたときに、利用できる環境をつくる必要があるのではないかと考えます。
 そこで伺いますが、現在の本市小中学校のPCなどの中には、現在このフォントは入っているものか。もし入っていないのならば本市の教育現場で導入されてみてはいかがかと思いますが、教育長の御見解をお聞かせください。
 答弁を願います。


◎教育長(杉元羊一君) 現在、本市の小中学校のコンピューターにはユニバーサルデザインフォントは入っておりませんので、来年度以降のコンピューターの更新に合わせて導入してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


◆(杉尾ひろき議員) 答弁をいただきました。
 前向きな答弁をいただき、導入による本市の児童生徒の学力向上を期待いたしますし、また、積極的な活用を図るために、教員の方々に対してフォントに対する理解を深める取り組みなどもぜひとも図られますよう要望いたします。